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お気楽に、きらきらしたものを集めます。管理人名前=きらく。かわいいグッズに目がない。一応大学卒業が決定したらしい。


by kirakirakiraku
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ツ反。

 一向に風邪はよくならない。風邪じゃなくて、アレルギーじゃなかろうかと思いはじめる。でもツベルクリンの接種には行く。寝過ごしてしまって、化粧もせずに行ったんだけど、自分でも言うのもなんだけど私は怖い女だった。

 染まりすぎた金髪気味の茶髪に、ジャージにジーンズにサンダルで、寝癖付きの髪をオールバックにしていたのだが、私は目つきがキツいので、化粧もなにもせずにガンつけると大抵の人は凍りつく。高校生の頃、10メートル先の男子を見ただけで怯えられた経歴の持ち主の私。おまけに今日の私は風邪で愛想が悪かったので、すでに帰っちゃった先生の代わりに接種してくれた保健のおねいさんが明らかに引いていた。おねいさん、ごめんなさい。

 田原総一郎とか立花隆が「オレってコワモテだからすぐ怖がられる」って自嘲する気持ちがよくわかる。別に攻撃するつもりじゃないのに、攻撃してしまっているという。まぁオジサンならコワモテもいいけどさ。私花の女子大生(死語)なのに~。

 そんなわけで予定より遅れた時間に行ったので、飲んでいる薬のことを相談しなかった。問診表に「副腎皮質ホルモンを飲んでいますか」みたいな項目があったが「いいえ」とした。しかしこれは間違いだった。

 何も言わずにツベルクリンを打たれてきたものの、帰宅して妙に薬のことが心配になったので、私は「かかりつけ薬局」に電話をした。調剤した人が出てきた。昨日もらった薬は、ツベルクリンと飲み合わせて問題はないかと聞いたら
「問題はありません~。でも、BCGの時にお医者さんに説明の紙を見せて聞いてください」
というではないか。それは私としては、腹がたつことだった。心が狭いと思われるかもしれないが、一応そこは「かかりつけ薬局」なのだ。彼は薬のエキスパートなのだ。対等なチーム医療の一員なのだ。ツ反の仕組みについてわかっていないっぽいのも、しどろもどろなのもしょうがない。でもでも、最後は「お医者さんにきいてください」で医者に責任を丸投げするなんて卑怯である。

 でもまぁ、彼が昨日、私が自己判断で服用中の漢方薬の名前(ツムラから出ているメジャーどころ)を知らなかった時にも感じたけど、今の時代の医療関係者は大変だ。とんでもない知識量をキープしておくなんて、並大抵の努力じゃできないことだ。私が研修医になって患者に同じように聞かれたって、答えられる自信はない。だからお礼を言って電話を切った。

 しかし気になる。ツ反と薬の飲み合わせで死なないとしても、私はもう腕にあの「模様(BCG)」を増やしたくないのだ。反応があるならある、ないならないでハッキリして欲しい。薬の処方内容を見ても、「アレルギーを抑える薬です」、とか書いてあるのがあやしい。そこでネットで調べてみた。すると、私は気がつかなかったのだが、私に処方されていたセレスタミン錠は、間違いなく副腎皮質ホルモンであった。問診のとき「いいえ」とかつけていた馬鹿は医学部四年の私である。どこのサイトを見ても「副腎皮質ホルモン剤を服用中の方は、ツベルクリン反応が弱く出ることがあります」と書いてある。

 しょうがないから処方したかかりつけ医に電話した。すると、彼は「確かに副腎皮質ホルモンだが、その程度なら量が少ないから大丈夫、気にしないでいいよ」と言った。ついでに様子はどうかとか、色々かかりつけ医っぽいことを尋ねられて、私は気分良く電話を切ったのだった。正直、全く問題ないことはないだろうと私は思った。しかし私に充分なツベルクリン反応が出ず、BCGを打たれても私はどうしようもない。薬のせいで反応が出なかったのか、本当に私が結核に対する免疫を充分持たなかったのかなんかわかるわけない。ただ、煙に巻かれた気分ながら、私は充分説明してほしかったし、医療関係者らしい対応をしてほしかっただけなんだろうと思う。

 最初に電話した「かかりつけ薬局」薬剤師をことさら責めるつもりはない。彼は言い忘れただけで、多分セレスタミンが副腎皮質ホルモン剤だと知っていただろうし、それがツベルクリン接種とあまり相容れないことくらい知っていたはずだ。
 私だって人のこといえるほど勉強なんかしてないから、試験ではいつも沢山間違えている。絶対書くべき項目を書かなかった問題があっても、60点取れていたから進級してきた。それで救われた気になって、でも許されて生きている。だから彼を責めない。BCGを1回余計に打たれたからって死ぬわけじゃないし。
 加えて、かかりつけ医は私が医学生なのを知っていたが、かかりつけ薬局の薬剤師は知らなかった。医学生の私が最低限教えて欲しいことと、89歳のおばあちゃんが説明してほしいことを電話口で判断しろっていうのも酷だ。

 でも、しかし。
 「”かかりつけ”らしいいたわりの言葉」「一応説明しておく姿勢」「自信ありげな口調」なんて、そんな「どうでもいいこと」で患者の気持ちは左右されるってことを、色んな意味でキモに命じておこうと思った一件だった。
by kirakirakiraku | 2005-04-26 20:02 | 生活