お気楽に、きらきらしたものを集めます。管理人名前=きらく。かわいいグッズに目がない。一応大学卒業が決定したらしい。


by kirakirakiraku
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父のガン検査。

 実は私の父は、若い頃から「俺は●●ガンだ星人」だった。
 本人は本気だから悪意はないわけだが、というかむしろ凄く苦しんでいるのだが、ちょっとしたきっかけで各所のガンに罹ったと思い込み、それらしい症状を家族に訴え、しぶりにしぶったあと検査にいくと、なんともなかったりするというのを繰り返してきたのである。

 そんな父のことだから、近年「俺は食道ガンだ」と宣言していても、家族は話半分程度に聞き流し、いつだって結論は「ちゃんと検査したほうがいいよ」なのにも関わらず父は検査に行くことはなく、長年放置されていた。

 しかしその父が、自らガン検査に行くと言う。

 そのきっかけは多分、先日私が「検査に行け」という内容の「豪華ガン検査資料付きメール」を送ったせいだと思われるが、送った側としても
「まぁこんなもの送っても、たぶん検査には行かないだろうなぁ~」
と内心思っていたので、ちょっとびっくりした。

 何故そういうメールを送ったかというのを簡単に書くと、それは結局GWの家族旅行と同じ原理である。

 私はちょっと前にたまたま中島みちさんの「患者革命」という本を読んでいたのだが、その本の中に、ガンで亡くなった筆者の縁者の話が沢山出てくるのである。例えばホクロのガンが見過ごされてあっという間に床に伏し亡くなってしまった筆者の姉や、肺のガンの発見が遅れて闘病のすえ亡くなった筆者の夫の話など。それは凄まじくリアルで、また何故か筆者の周りにはガンが見つかるのが遅れて亡くなった縁者が多いように書かれているのだ。その文章力とあいまって、引き込まれるように読んでいた私はそのために、すっかり他人事とは思えなくなり、心配になりはじめた。

 父に似たのか、すでに皮膚ガンの恐怖に怯え、小指に突然出来たホクロをしょっちゅうガンなのではないかと疑って見つめている私としてはそちらも気になったが、自分はまぁあと数年で死んでもさほど問題はないと思ったのですぐ諦めがついた。しかし、次に浮かんだのはあの、いつも「俺は食道ガンだ」と宣言している父の顔であった。TVでガンのことが放送されていても自分のリアルな感触としてはわからないが、中島みちさんの本ではTVでは放送されない事が沢山書いてある。たとえば亡くなった母の遺体を自分で死後処置する話など、それが自分の父に置き換わったらと思えば居てもたってもいられないものがあった。

 さらに悪いことに(良いことに?)その頃の某外科の授業のテーマは、奇しくも「食道ガン」であった。真っ先に「俺は食道ガンだ」と繰り返す父のことを思い浮かべた私は、普段よりもずっと丁寧に授業を拝聴したのであった。
 そしてそれによると、食道ガンは早期ならば比較的簡単な手術で済むというが、進行するとなかなか大胆な術式でないと治療できないとおっしゃるではないか。

 ここまで一気に「父のガン」について想像させられる事になると、もう言わずにはいられない。ということで、私はその日のうちに資料付きメールを書き、父を検査に駆り立てる文句を並べて、全身検査をするべくお勧めしたのであった。


 ただ、前にも書いたがそれを受けて父がこんなに素早く検査を決断するとは思わなかったので意外である。父もそれだけ高齢になったということか。なんだか少し、哀しい。親の白髪と疲れた横顔を見つめているときのような気分だ。

 もちろん、いつものように今回も「俺は●●ガンだ星人」の思い込みであってほしいというのは言う間でもない。
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by kirakirakiraku | 2005-05-14 06:10 | 生活